大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)479 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人渋川鶴蔵の上告趣意は末尾に添えた書面記載のとおりである。

上告趣意第一点について。

旧刑訴第四〇三条において、原判決の刑より重い刑を言渡すことができないと規

定した趣旨は、言渡刑のみに関するものであつて、控訴審が原判決の認定したとこ

ろより重い法定刑の罪に当る犯罪事実を認定してはならないという意味でないこと

については当裁判所のしばしば判決するところである。それゆえ、原審が本件公訴

事実につき漂流物横領罪と認定した第一審判決を変更して賍物運搬罪にあたる犯罪

事実を認定したことは旧刑訴第四〇三条に違反するものではない。そして、第一審

判決においては懲役刑だけを言い渡しているのに原判決は懲役刑の外罰金刑をも併

科しているが、その懲役刑は第一審判決より軽く量定されているのであるから、前

記法条に違反するところはない(昭和二四年(れ)第一二二五号同年七月五日当裁

判所第三小法廷判決参照)。なお、論旨後段は、原判示と異なる事実を前提として

原判決を非難するものであるから採用することができない。

同第二点について。

論旨前段は、原判決がAの供述によつて被告人の賍物知情の点を認定したことを

非難するのであるが、Aの供述によれば右の事実を認定し得られないわけではない

から、原審は虚無の証拠によつて事実を認定したものではない。所論は結局原審に

委ねられた証拠の採否を非難するに外ならないので採用することはできない。論旨

後段は、原審が被告人の所為を賍物運搬罪に当るものと認定したことは当裁判所の

判例に反し理由齟齬等の違法があるというのであるが、論旨に摘録する判例におけ

る事実関係と本件の事実関係とは異なるのであるから、原判示は少しも当裁判所の

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判例に違反するものでもないし、また原判決には所論のような違法もない。

よつて本件上告を理由ないものと認め、旧刑訴第四四六条に従い主文のとおり判

決する。

以上は当小法廷裁判官全員の一致した意見である。

検察官 長部謹吾関与

昭和二五年七月一八日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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